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研修費や資格取得費は経費になる?給与課税の要件と注意点
「従業員や役員が取得した資格の費用やセミナー講習代を、会社の経費(研修費)として落とせるだろうか?」
「自動車免許や簿記などの資格取得費を会社が払うと、個人の給与とみなされて税金がかかってしまうのだろうか?」
社員のスキルアップや資格取得の支援は多くの企業で行われていますが、税務上は「会社の業務に直接必要かどうか」によって、会社の経費として認められるか、それとも「給与(役員賞与)」として課税されるかが明確に分かれます。
特に役員に対する資格取得費用が「給与(役員賞与)」と認定されると、会社の経費(損金)に一切落とせないばかりか、役員個人の所得税や住民税が跳ね上がるダブルのペナルティを受けることになります。
今回は、研修費や資格取得費が非課税(経費)として認められる3つの要件と、税務調査で狙われやすいポイントについて分かりやすく解説します。
【目次】
- 資格取得費が「給与認定」されると困る理由
- 給与課税されない(経費にできる)3つの要件
- 自動車免許・簿記・国家資格の経費化の境界線
- まとめ:税務調査リスクを正確に踏まえた上で最適な判断を
1.資格取得費が「給与認定」されると困る理由
会社が役員や従業員のために支払った資格・研修費用が税務調査で「給与」と認定された場合、以下のデメリットが発生します。
① 従業員の場合
会社からの指示で受講したにもかかわらず、「給与(手当)」とみなされて所得税や住民税、社会保険料の負担が増えてしまいます。会社側は研修費から給与手当へ科目振替となり、消費税の仕入税額控除が否認されます。
② 役員の場合(非常に危険!)
役員のために支払った費用が給与と判定された場合、事前確定届出給与などの要件を満たさないため「役員賞与(臨時給与)」扱いとなり、全額が損金不算入(会社の経費にできない)となります。
さらに役員個人の所得税も追徴されるため、会社と個人の双方で二重の税負担が発生します。
2.給与課税されない(経費にできる)3つの要件
所得税基本通達36-29の2において、会社が負担した研修費や資格取得費が給与として課税されない(=会社の経費にできる)ための要件として、以下の3つが定められています。
📄 研修費・資格取得費が経費として認められる3要件
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会社の業務遂行上、直接必要なものであること
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職務に直接必要な技術、知識、資格等を得る目的であること
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会社が負担した費用が、一般的にみて適正な金額であること
要件①と③は客観的に判断しやすいですが、実務で最も議論(否認)の対象となるのが「要件②:職務に『直接』必要な資格か」という点です。
3.自動車免許・簿記・国家資格の経費化の境界線
具体的にどのような資格や研修が経費として認められ、どのようなものが給与認定されてしまうのか、実例をもとに検証します。
飲食店における「普通自動車免許」の取得費
最近、顧問先から同じ相談がありました。
店舗型の飲食店において、仕入れ等で車を使う場面があるとしても、主たる事業は「店舗内での料理・接客」です。
運転免許がなくても飲食店の業務自体は成立するため、職務に「直接」必要とは言えず、会社負担分は給与(役員賞与)と認定される可能性が高いです。
建設現場の「施工管理技士」や飲食店の「調理師免許」
その資格がなければ現場での指揮監督や業務自体が行えないような国家資格・専門資格については、業務遂行上「直接必要」であるため、会社負担としても給与課税されず全額経費化できる可能性が高いです。
経理担当者の「簿記検定」や専門職の国家資格
私個人としては、経理業務において簿記の知識は必須と考えている為、3つの要件を満たしていると考えています。これは税理士によって見解は異なると思いますが。
しかしながら、資格取得費には別の論点もあります。
税理士や弁護士など「一度取得すると個人に永久に帰属する一身専属的な資格」の取得費用については、給与認定(経費不可)とする判例が存在します。
金額的重要性もありますが、資格取得費については業務に直接必要と判断できるとしても、給与認定された判例がある以上、総合的に判断すると厳しいのかもしれません。
とはいえ、給与認定された場合の影響について関係者と合意することが大前提ですが、個人的には3つの要件を満たす限りは経費処理しても良いとは思います。これは私の見解であって結果を保証する訳ではありません。
資格費用等が給与認定されるか否かは税理士によって見解が異なる部分ですので、必ず顧問税理士に相談してください。
4.まとめ:税務調査リスクを正確に踏まえた上で最適な判断を
今回は、研修費や資格取得費用における給与課税リスクと判断基準について解説しました。
資格や研修の経費化については、事業内容や担当業務の実態によって税理士の見解や税務調査での判断が大きく分かれるグレーゾーンでもあります。
梁瀬会計事務所では、税務調査でのリスクや判例の傾向を正確にお伝えした上で、安易に保身から「経費にできません」と断絶するのではなく、事業の実態に合わせた最適な対応策をともに協議して決定しております。
「この資格取得費用を経費に落として大丈夫か確認したい」「役員賞与認定されない安全な経理処理を行いたい」という方は、ぜひお気軽にご相談ください。