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2021.05.13 コラム解決事例(税務顧問)

会社が負担した仕事に必要な研修費用は、給与になるの?

先日、顧問先の社長から、運転免許証の取得費用は経費になりますか?と聞かれました。背景を伺った上で、役員賞与になるでしょうねとお伝えしました。その理由はこれからお伝えしますが、この顧問先の場合、役員賞与になってしまうと法人の経費にもならないので、個人負担で資格を取得することになりました。今回は、このような研修費用についてお伝えします。

【目次】
  1. 給与課税されない研修費の範囲
  2. まとめ

1.給与課税されない研修費の範囲

給与課税されたくない理由

どうして、給与課税されたくないのでしょうか。従業員(役員)からすると、業務に必要という理由で、会社から受講しなさいと指令があったから(しぶしぶ)受講したのに、なぜ給与認定され所得税等を支払わないといけないのか!となります。会社からすると、従業員に対するものであれば経費として処理できるものの(仕入税額控除はできない)、役員に対するものであれば、役員賞与として経費処理さえできません。

では、給与認定されない要件はどうなっているのでしょうか。所得税基本通達では、研修費が給与認定されないための要件を、以下のように示しています。

所得税基本通達

(課税しない経済的利益……使用人等に対し技術の習得等をさせるために支給する金品)
36-29の2 使用者が自己の業務遂行上の必要に基づき、役員又は使用人に当該役員又は使用人としての職務に直接必要な技術若しくは知識を習得させ、又は免許若しくは資格を取得させるための研修会、講習会等の出席費用又は大学等における聴講費用に充てるものとして支給する金品については、これらの費用として適正なものに限り、課税しなくて差し支えない。(平28課法10-1、課個2-6、課審5-7追加)

上記の所得税基本通達をまとめると、以下の要件を満たすことができれば、給与課税しなくてもよいとなっています。つまり、研修費として経費処理できます。それぞれの要件についてみていきます。

①会社の業務遂行上、必要なものであること
②職務に直接必要な技術、知識、資格等を得る目的であること
③会社が負担した費用が、一般的にみて適正な金額であること

①会社の業務遂行上、必要なものであること

そもそも業務に必要でないものを支出した場合は、給与課税されても仕方がないですし、議論になる余地もないため、ここでは特段取り上げません。

②職務に直接必要な技術、知識、資格等を得る目的であること

実務的には、この②が問題になります。先ほどの顧問先の場合、業種は飲食業です。そして、仕入等で車を使うものの、あくまでお店で飲食してもらって売上を獲得しますので、直接必要とは言えません。そのため、給与認定されてしまいます。もし、業種が運送業であれば、免許証は事業に直接必要と言えるため、給与認定されず研修費などで処理できると考えられます。

他にも給与認定されなさそうなものとしては、建設現場で必要な資格、経理職員の簿記資格、飲食店の調理師免許を取得するための費用も大丈夫かなと。ただし、簿記資格を取得する費用は、税理士によって見解が異なるかもしれません。経理業務を遂行する上で、簿記の資格自体は必要ないという事を重視すれば、直接必要な資格とは言えません。しかし、私の見解としては、確かに資格そのものは業務遂行上必須ではありませんが、簿記の知識は必須であり、その知識を得る目的として資格取得を支援するという理屈はありかなと考えています。簿記の知識がなければ仕事になりませんので、簿記資格の講座は、業務に直結しているのではないかと。また、税理士資格取得費用に関しては、ある税理士のコラムを拝見すると、税理士などの一身専属の資格取得費用は給与になると記載されていました。どうなんでしょうか?そうすると、運送業で運転免許証(⇐一身専属の資格ですよね)を取得する費用もダメという事でしょうか?個人的には、①から③の要件を満たす限りは、税理士資格取得費用も給与認定されないと考えています。とはいえ、これは私の見解であって、結果を保証する訳ではありません。資格費用等が給与認定されるか否かは、税理士によって見解が異なる部分ですので、必ず顧問税理士に相談してください。

③会社が負担した費用が、一般的にみて適正な金額であること

通常のルートで申し込みをした研修などは問題になりませんので、ここでも特段取り上げません。

2.まとめ

今回は、会社が負担した従業員等の研修費が、給与認定されるか否かについてお伝えしました。”②職務に直接必要な技術、知識、資格等を得る目的であること”でお伝えした通り、この給与課税されない研修費の範囲は税理士によって判断が異なります。税務調査でも必ず論点になる項目ですので、必ず顧問税理士に相談した上で、結論を出してください。当税理士事務所では、このような判断が分かれるケースでは、そのリスクをお伝えした上で、顧問先とともに判断しています。顧問先と協議もせずに、否認されるリスクがあるため、経費として処理できませんとは言いません。それは税理士の保身でしかないためです。

 

国税庁ホームページ

No.2588 職務に必要な技術などを習得する費用を支出したとき
[平成27年4月1日現在法令等]
役員や使用人に、仕事に関係のある技術や知識を習得させるための費用や学校の授業料などの学資金を支給する場合があります。この場合には、支給したこれらの費用が一定の要件を満たしていれば、給与として課税しなくてもよいことになっています。

1 技術や知識の習得費用
技術や知識の習得費用は、次の三つのいずれかの要件を満たしており、その費用が適正な金額であれば、給与として課税しなくてもよいことになっています。

  1. 会社などの仕事に直接必要な技術や知識を役員や使用人に習得させるための費用であること。
  2. 会社などの仕事に直接必要な免許や資格を役員や使用人に取得させるための研修会や講習会などの出席費用であること。
  3. 会社などの仕事に直接必要な分野の講義を役員や使用人に大学などで受けさせるための費用であること。

2 学資金
学資金を支給する場合には、役員と使用人ではその取扱いが違います。役員や使用人に学資金を支給する場合には、原則としてすべて課税されます。しかし、使用人本人が通学している高校までの学資金を支給する場合で、その修学のための費用として適正なものは、役員又は使用者である個人の親族のみをその対象とする場合を除き、給与として課税しなくてもよいことになっています。したがって、大学、高等専門学校、専修学校及び各種学校の学資金を支給する場合には、上記1に該当するものを除き給与として課税されます。

 

 

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