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2021.04.26 コラム

税務調査で重加算税を避けるには?課される要件と税務署の立証責任

税務調査の現場で最も激しい議論になり、一番の交渉難所となるのが「重加算税(過少35%/無申告40%)を課すか否かの攻防」です。

調査官にとっては実績となるため何としても課したい立場であり、納税者にとっては税負担も精神的ダメージも激増するため絶対に避けたい場面です。

結論から申し上げますと、「意図的な不正(故意)があったことの立証責任」は税務署側にあります。単なる失念や計算ミス、認識不足であれば、重加算税を回避できる可能性が十分に存在します。

今回は、重加算税が課される法的な要件と立証責任の所在、そして絶対に重加算税を避けなければならない理由について分かりやすく解説します。

【目次】
  1. 重加算税が課される要件(「故意」による仮装・隠蔽が必要)
  2. 知っておくべき真実:「仮装・隠蔽の立証責任」は税務署側にある
  3. 納税者が重加算税を絶対に避けなければならない2つの理由
  4. まとめ:誘導尋問に注意!疑問を感じたらすぐに税理士へご相談を

1.重加算税が課される要件(「故意」による仮装・隠蔽が必要)

国税通則法第68条において、事実の「隠蔽(隠すこと)」または「仮装(装う・歪曲すること)」があった場合に重加算税が課されると定められています。

ここで極めて重要なのが、「隠蔽・仮装には『故意(わざとやった意識)』が伴っていなければならない」という点です。

過去の有名な判例(和歌山地裁 昭和52年6月23日判決)でも、以下のように明確に定義されています。

📄 判例による仮装・隠蔽の定義(和歌山地裁判決)
事実を隠ぺいするとは事実を隠匿しあるいは脱漏することを、事実を仮装するとは所得・財産あるいは取引上の名義を装う等事実を歪曲することをいい、いずれも行為の意味を認識しながら「故意」に行うことを要するものと解すべきである。

つまり、売上除外や計上漏れの事実があったとしても、「単純な転記ミス」や「うっかり忘れていた(うっかり失念)」という場合であれば、法的に重加算税を課すことはできません。

調査官はミスを発見すると一律で重加算税を課そうと誘導してきますが、「本当に故意だったのか」を冷静に問いただすことが重要です。

🔗 関連コラム:税務調査で「事実と違う回答」をしたら必ず重加算税?回避できた名古屋の事例

2.知っておくべき真実:「仮装・隠蔽の立証責任」は税務署側にある

調査官から「この売上漏れは意図的な隠蔽ではないですか? 意図的でないと証明できますか?」と迫られると、納税者側に証明の責任があるように感じてしまいます。

しかし、これは大きな誤解です。「納税者が故意に隠蔽・仮装を行ったことの立証責任」は、100%税務署側(国税側)にあります。

過去の国税不服審判所の裁決(平成9年12月9日裁決)でも、税務署側が隠蔽行為の存在を具体的に立証できなかったとして、重加算税処分が取り消された事例が存在します。

国税不服審判所(平9.12.9裁決、裁決事例集No.54 94頁)

調査官が「質問応答記録書」へのサインを求めてくる理由

税務署側も自らに立証責任があることはわかっています。

だからこそ、調査の現場で巧みな誘導尋問を行い、納税者自身に「はい、意図して隠しました」と自白させる供述書(質問応答記録書)を作成し、サイン(署名押印)を迫ってくるのです。

質問応答記録書にサインしてしまうと、税務署側の立証が完了してしまいます。身に覚えのない自白書には絶対にサインしてはいけません。

🔗 関連コラム:税務調査の質問応答記録書にはすぐにサインしなくていい

重加算税の具体例

重加算税が課される具体例は実務運営指針で説明していますので、こちらを参照ください。

🔗 関連コラム:個人事業主の税務調査で「重加算税」になる具体例6選

法人税についてはこちらも参照ください。個人事業主の重加算税とそれほど違いはありません。

法人税の重加算税の取扱いについて(事務運営指針)

3.納税者が重加算税を絶対に避けなければならない2つの理由

重加算税を何としてでも回避しなければならないのは、単に罰金が重いからだけではありません。

① 税率が過酷すぎる(過少35%/無申告40%)

重加算税の税率は、本来の税金に加えて過少申告なら「35%」、無申告なら「40%」が上乗せされる極めて懲罰的なペナルティです。さらに延滞税の追徴額が跳ね上がります。

② 「不正事業者」としてブラックリストに載り、調査頻度が跳ね上がる

実務上、最も痛手となるのが「税務署のマーク対象(ブラックリスト)となり、今後の税務調査の周期(頻度)が激増する」という点です。

一度重加算税を課されると、「過去に不正を行った事業者」としてシステムに記録されるため、通常なら5〜7年に一度の調査ペースが、「3年ごと」などの短いスパンで繰り返し調査に入られるようになります。

実際に、私が直接関与した先ではありませんが、税務調査で重加算税を課された規模の小さい法人が3年後に税務調査に来ていました。3年後の調査はさすがに重加算税は課されなかったようですので、また3年後という事はないと思いますが。

4.まとめ:誘導尋問に注意!疑問を感じたらすぐに税理士へご相談を

今回は、税務調査における重加算税の要件と立証責任について解説しました。

法的なハードルが高いはずの重加算税ですが、実務の現場では税理士の立ち会いがない場合、調査官の誘導に流されて安易に課されてしまっているのが恐ろしい現状です。

故意に隠蔽したのではない(ミスや認識不足だった)のであれば、毅然とした態度で戦う必要があります。そのためには、法律と判例の知識を持ったプロの税理士を味方につけることが最大の防御策となります。

梁瀬会計事務所では愛知県名古屋市を拠点として、愛知・岐阜・三重を中心に全国の方を対象として、税務調査における重加算税の回避交渉や、調査官との意見調整を多数手がけております。

顧問先の紹介などもあり、実際に東海三県を超えて、代表の地元である長崎県や東京都など全国各地の法人・個人事業主からもご選定いただいております。

当事務所はネット広告(リスティング広告等)をいっさいかけていない完全ゼロ広告の経営を行っているため、他事務所よりもリーズナブルな適正価格で税務調査の事前準備・当日立ち会い・最終交渉までサポートいたします。

「重加算税を課すと調査官に言われて困っている」「質問応答記録書へのサインを迫られている」という方は、ぜひお早めにご相談ください。

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