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2021.04.26 コラム

税務調査において重加算税を回避しなければならない理由とは

税務調査で一番もめるのは、一番交渉が大変なのは、重加算税を課すか否かの攻防です。納税者は絶対に避けたい、調査官は絶対に課したいという立場ですので、当然の話です。では、納税者はなぜ絶対に避けたいのでしょうか。重加算税が課される要件をまずご説明した上で、その理由をお伝えします。

【目次】
  1. 重加算税が課される要件
    1. 仮装隠蔽行為には故意が伴う
    2. 立証責任は、税務署にある
    3. 重加算税の具体例
  2. 重加算税を避けなければならない理由
    1. 重加算税の税率が厳しすぎる
    2. 税務調査の頻度が増える(ブラックリストに載る)
  3. まとめ

1.重加算税が課される要件

1.仮装隠蔽行為には故意が伴う

国税通則法68条にて、重加算税の要件が規定されており、仮装隠蔽行為を行うと重加算税が課されるとされています。では、仮装隠蔽行為とはどういった行為なのでしょうか。かなり昔の裁判ですが、以下のように定義されています。かなり有名な裁判例です。

事実を隠ぺいするとは、事実を隠匿しあるいは脱漏することを、事実を仮装するとは、所得・財産あるいは取引上の名義を装う等事実を歪曲することをいい、いずれも行為の意味を認識しながら故意に行うことを要するものと解すべきである。
(和歌山地裁昭 52・6.23 判決)

「わざと」隠蔽するというように、故意に行っていることが必要とされています。確かに、故意のない仮装隠蔽行為ってよくわかりませんよね。
ここで大切なのは、売上除外という事実があったとしても、故意に行っていなければ(要は単純なミスであれば)、重加算税は課されないという事です。調査官は、売上除外の事実をみつけると、その背景がどうであれば、重加算税を課そうとする場合があります。その時は、調査官にその根拠を問う必要があります。以前、虚偽の答弁をおこなっても、重加算税を回避できたケースをご紹介しました。これはまさしく故意ではなく、忘れていたため誤った回答をしてしまったという事を合理的に説明できたからです。詳細はこちらをご覧ください。
税務調査において事実と異なる回答をすると必ず重加算税なのか

2.立証責任は、税務署にある

先ほど、重加算税を課そうとした場合、その根拠を問う必要があるとお伝えしました。その場合、調査官が、このように言うかもしれません。「この売上除外は意図した所得隠しではないですか?意図した所得隠しでないことを立証できますか?」と。これって、仮装隠蔽行為でない事の立証責任が納税者にあるように感じますが、実際は違います。本来は、調査官に立証責任があるとされています。

税務署が重加算税を課すときは、税務署に立証責任があるとされた裁決事例
国税不服審判所(平9.12.9裁決、裁決事例集No.54 94頁)

重要な箇所を抜粋しました。

原処分庁の主張は、請求人が意識的な過少申告を行ったものであるというにすぎず、隠ぺい又は仮装であると評価すべき行為の存在について何らの主張及び立証をしておらず、また、当審判所の調査その他本件に関する全資料をもってしても、本件貸付金について隠ぺい又は仮装の事実を認めることはできない。したがって、重加算税の賦課決定処分のうち、争いのある部分については重加算税を賦課することは相当でない

税務署が納税者が仮装又は隠蔽したことを立証できていないと言っています。また、以前、質問応答記録書についてコラムを書きました。
税務調査の質問応答記録書にはすぐにサインしなくていい

このコラムで、質問応答記録書を作成するのは、調査官が重加算税を課したいときに作成されることが多いとお伝えしました。これは、調査官が立証責任があるとわかっているからこそ、質問応答記録書を作成し納税者が自白するように仕向けるのです。この点からも、調査官に立証責任があることがわかります。

このようによくよく考えると、重加算税を課すハードルはかなり高いのですが、税務調査の実務では、簡単に重加算税が課されている現状があります。ですので、仮装隠蔽していないのであれば、しっかりと主張しなければなりません。

3.重加算税の具体例

重加算税が課される具体例は、実務運営指針で説明していますので、こちらを参照ください。
税務調査にて個人事業主に課せられる重加算税とはどういったものか

法人税についてはこちらも参照ください。個人事業主の重加算税とそれほど違いはありません。
法人税の重加算税の取扱いについて(事務運営指針)

2.重加算税を避けなければならない理由

1.重加算税の税率が厳しすぎる

重加算税の税率は、過少申告だった場合は35%、無申告だった場合は40%です。これは明らかに懲罰的なペナルティーですので、税負担という観点で、避けなければなりません。また、延滞税も通常の過少申告加算税や無申告加算税と比較すると、増えます。

2.税務調査の頻度が増える(ブラックリストに載る)

これが一番つらいです。私は国税のOBではないので、詳しくありませんが、国税OBに話を聞くと、間違いなく調査の頻度は増えるだろうとの事。過去に不正をした法人や個人事業主は、それ以降も不正を行っている可能性は高いのでしょう。実際に、私が直接関与した先ではありませんが、税務調査で重加算税を課された規模の小さい法人が、3年後に税務調査に来ていました。3年後の調査はさすがに重加算税は課されなかったようですので、また3年後という事はないと思いますが。

3.まとめ

本来、重加算税を課すのは、ハードルが高いのですが、税務調査に詳しい税理士が立ち会わないと、なかなかそうは事が進みません。そのため、仮装隠蔽を伴っているか否かに関係なく、売上除外といった重加算税が課されやすい申告をしているのが判明したら、早めに税理士に相談することをお勧めします。重加算を課すと決めた調査官は、ありとあらゆる手段を講じて、重加算税を課そうとします。一番多いのは誘導尋問をおこない、質問応答記録書を作成するパターンです。それが事実なのであれば仕方ありませんが(故意に売上を除外したなど)、事実でないのであれば戦わなければなりません。戦うための武器として、税理士を活用するのはとても有効です。当税理士事務所の税務調査の立会い費用等はこちらをご覧ください。
税務調査の料金やご利用の流れなど

 

 

国税通則法

(重加算税)
第六十八条 第六十五条第一項(過少申告加算税)の規定に該当する場合(修正申告書の提出が、その申告に係る国税についての調査があつたことにより当該国税について更正があるべきことを予知してされたものでない場合を除く。)において、納税者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装し、その隠蔽し、又は仮装したところに基づき納税申告書を提出していたときは、当該納税者に対し、政令で定めるところにより、過少申告加算税の額の計算の基礎となるべき税額(その税額の計算の基礎となるべき事実で隠蔽し、又は仮装されていないものに基づくことが明らかであるものがあるときは、当該隠蔽し、又は仮装されていない事実に基づく税額として政令で定めるところにより計算した金額を控除した税額)に係る過少申告加算税に代え、当該基礎となるべき税額に百分の三十五の割合を乗じて計算した金額に相当する重加算税を課する。
2 第六十六条第一項(無申告加算税)の規定に該当する場合(同項ただし書若しくは同条第七項の規定の適用がある場合又は納税申告書の提出が、その申告に係る国税についての調査があつたことにより当該国税について更正又は決定があるべきことを予知してされたものでない場合を除く。)において、納税者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装し、その隠蔽し、又は仮装したところに基づき法定申告期限までに納税申告書を提出せず、又は法定申告期限後に納税申告書を提出していたときは、当該納税者に対し、政令で定めるところにより、無申告加算税の額の計算の基礎となるべき税額(その税額の計算の基礎となるべき事実で隠蔽し、又は仮装されていないものに基づくことが明らかであるものがあるときは、当該隠蔽し、又は仮装されていない事実に基づく税額として政令で定めるところにより計算した金額を控除した税額)に係る無申告加算税に代え、当該基礎となるべき税額に百分の四十の割合を乗じて計算した金額に相当する重加算税を課する。
3 前条第一項の規定に該当する場合(同項ただし書又は同条第二項若しくは第三項の規定の適用がある場合を除く。)において、納税者が事実の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装し、その隠蔽し、又は仮装したところに基づきその国税をその法定納期限までに納付しなかつたときは、税務署長又は税関長は、当該納税者から、不納付加算税の額の計算の基礎となるべき税額(その税額の計算の基礎となるべき事実で隠蔽し、又は仮装されていないものに基づくことが明らかであるものがあるときは、当該隠蔽し、又は仮装されていない事実に基づく税額として政令で定めるところにより計算した金額を控除した税額)に係る不納付加算税に代え、当該基礎となるべき税額に百分の三十五の割合を乗じて計算した金額に相当する重加算税を徴収する。
4 前三項の規定に該当する場合において、これらの規定に規定する税額の計算の基礎となるべき事実で隠蔽し、又は仮装されたものに基づき期限後申告書若しくは修正申告書の提出、更正若しくは第二十五条(決定)の規定による決定又は納税の告知(第三十六条第一項(納税の告知)の規定による納税の告知(同項第二号に係るものに限る。)をいう。以下この項において同じ。)若しくは納税の告知を受けることなくされた納付があつた日の前日から起算して五年前の日までの間に、その申告、更正若しくは決定又は告知若しくは納付に係る国税の属する税目について、無申告加算税等を課され、又は徴収されたことがあるときは、前三項の重加算税の額は、これらの規定にかかわらず、これらの規定により計算した金額に、これらの規定に規定する基礎となるべき税額に百分の十の割合を乗じて計算した金額を加算した金額とする。

 

 

 

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