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2021.04.29 解決事例(税務調査)

漫画家の税務調査…取材費、漫画購入、衣装代などは経費になるの?

愛知県在住の漫画家の方から税務調査の相談がありました。電子漫画の作家さんでした。コミックシーモアといった数多くの漫画を集めた電子書籍サイトがあり、私も最近登録して読み始めました。ついでに紙の漫画との値段に違いがあるのか調べたところ、鬼滅の刃23巻で比較するとデジタル版481円、紙版506円でした。意外と変わりませんね。今回は漫画家の税務調査について考えてみます。

【目次】
  1. 漫画家の売上
    1. 原稿料収入や印税収入
    2. その他の収入
  2. 漫画家の経費
    1. 取材に要した費用
    2. 漫画やゲームの購入費用
    3. 衣装の購入費用
  3. まとめ

1.漫画家の売上

1.原稿料収入や印税収入

主たる収入です。原稿料や印税の収入については、通常、出版社などから送られてくる支払調書に基づき申告することになりますので、不正な処理をしない限り間違えようがないです。因みに、税務署も同じ情報を持っているので、申告書の数値と大きく相違している場合は税務調査の対象に選定される確率が一気に上がります。支払調書と異なる申告をすれば、重加算税の対象になる可能性も高いでしょう。

2.その他の収入

売れている作家さんであれば、作品のアニメ化や映画化、様々な企業とのコラボ等により、著作権使用料が発生します。2020年は鬼滅の刃フィーバーでしたが、タイアップ商品が多いこと多いこと。税理士としてではありませんが、私が関わっている企業も鬼滅の刃フィーバーの恩恵を受けた企業でした。この作家さんの所得は凄いことになっているんでしょうね。とここまで書きましたが、著作権使用料は売れている作家さんに限定されるので、通常の漫画家の場合はほとんどないかと思います。
それ以外の収入としてはどういったものがあるのでしょうか。作家さんが描いているキャラクターのネット販売やコミックマーケットでの販売などが考えられます。これらの収入は税務署にバレにくいことから、意図的に申告しない方もいる可能性があるため、税務署もこの辺りは厳しくチェックする可能性が高いです。国税OBによると多額の税金を課す以上に重加算税を課した方が評価が高くなるようなので、キャラクターのネット販売など仮に金額が小さいとしてもしっかりと調査すると考えておいてください。

2.漫画家の経費

税務調査では売上よりも経費がもめる可能性が高いです。不正な売上除外をしていた場合は別ですが。では経費としてどういったものが考えられるでしょうか。漫画家に特有な経費に絞って考えてみます。

1.取材に要した費用

漫画を描く上で、現地に取材に行くことも多いと思います。そこで発生する交通費、宿泊費などは経費として処理できるのでしょうか。基本的に経費として処理できますが、それをしっかりと調査官に説明できる必要があります。調査官の立場としては、プライベートの旅行の可能性は当然考えます。従って、そうではないと立証しなければなりません。例えば、取材した場所が漫画に描かれていれば、証拠が残っているので認めてもらいやすいですよね。そういった証拠がない場合でも、漫画を描くために必要であることを具体的にしっかりと主張してください。では、出張の目的が取材と旅行の場合はどうでしょうか。100%経費にすることはダメですが、仕事の割合をご自身なりに判断して、例えば50%だけ経費処理するといったことは可能です。この場合もなぜ50%なのかは説明できるようにしておく必要があります。絶対にやってはいけない事は、100%プライベート旅行なのに、取材だと嘘をつくことです。ウソがばれると重加算税を課される可能性が高まるので本当にやめましょう。別のコラムでお伝えしていますが、税務調査では嘘は絶対にダメです。

2.漫画やゲームの購入費用

これも漫画を描く上で必要と認められるものは、経費として処理できます。例えば、青春系の漫画を描いている作家さんであれば、ツルモク独身寮の購入費用は経費になるはずです(ツルモク独身寮を書きたかっただけです)。ロボット系の漫画を描いている方の場合、ガンダムのフィギュアなども経費として認めてもらう事は可能ではないでしょうか。漫画家に限りませんが経費として認めてもらう為に最も大切なことは、事業との関連性を説明できるかなので、その点は意識してください。特に漫画やゲームは趣味と判断されがちですので注意してください。

3.衣装の購入費用

衣装代は、上記2つよりも経費として認めてもらうのは厳しいです。まず、ご自身が着るような服は難しいでしょう。ではどういったものが認められるのでしょうか。例えば、作家さんが女性で男性用のスーツなどを購入した場合は、経費として認められる可能性は高いです。それ以外にも明らかに普段使い出来ないような服は説明しやすいと思います。衣装代は税務調査での説明の仕方が重要になってくるので、この点は税理士に相談しながら進めた方が良いでしょう。

3.まとめ

今回は、漫画家の税務調査についてお伝えしました。最近の漫画家はパソコンで描いている方も多いようです。その場合は、当然にパソコン、モニター、スキャナー、プリンターなどは経費として処理できます。このような明らかなに経費であるものは税務調査では問題になりませんが、先に挙げたような取材費用などは揉めることも多いので、ご自身だけで説明することが不安なのであれば税理士に立会を依頼することもご検討ください。当税理士事務所の立会い費用等はこちらをご覧ください。
税務調査の料金やご利用の流れなど

 

 

 

 

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