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フリーランスのシステムエンジニアへ支払った報酬は外注費か給与か
以前のコラムで、フリーランスのシステムエンジニアの経費についてご紹介しました。今回は、システム会社が外注先であるシステムエンジニアに支払った報酬が、外注費にあたるのかそれとも給与認定されるのかについてご紹介します。フリーランスのシステムエンジニアの経費については、以下のコラムをご覧ください。
フリーランスのシステムエンジニアの経費はどこまで?
【目次】
- フリーランスのシステムエンジニアが増えている
- 税務調査における調査方法
- 形式面での税務調査
- 実質面での税務調査
- 税務調査の対策
1.フリーランスのシステムエンジニアが増えている
フリーランスとして働くシステムエンジニアが増加しています。私が日本IBMで働いていた時期は、ほとんど見かけませんでしたが、最近はかなり増えています。その理由として挙げられるのは、①収入が増える場合が多い、②仕事を選べる、③束縛されない(自由な時間を確保できる)といったメリットがあるからでしょうか。元システムエンジニアとして思うのは、明確なスキルが必要があることや、技術の進歩が速くキャッチアップするのが大変といったこともあり、安易にフリーランスになることはお勧めしません。私も独立していますので、気持ちはとても分かりますが。このように、フリーランスのシステムエンジニアが増えていますので、自ずと、システム会社がフリーのエンジニアに業務委託するケースも増えています。
2.税務調査における調査方法
調査官は、2つの視点で調査をおこないます。形式と実質です。それぞれについて説明します。
1.形式面での税務調査
調査官は、業務委託契約書を締結しているか、そしてその契約書の内容を確認します。この場合、請負契約もしくは準委任契約となりますが、どちらの契約においても、受注側は自分の責任・管理下で業務をおこない、発注側に指揮命令権がないという特徴があります。そのため、フリーランスのシステムエンジニアが、当該契約書通りに働いていれば、外注費に該当します。しかし、実態が異なる場合に問題となります。つまり、実質的には雇用契約ではないか?発注側に指揮命令権があるのではないか?という点です。そのため、契約書も大切なのですが、実際の働き方が問題となります。
〇請負契約
発注側が仕事を完了させることを依頼し、受注側も仕事を完了させることを請け負う契約。そのため、発注側に完成品が納品された時、受注側へ報酬が支払われます。
〇準委任契約
発注側が受注側に業務を依頼し、受注側が契約期間内に依頼された業務を行うことで報酬が支払われます。
2.実質面での税務調査
形式面も大切なのですが、結局、実態はどうなの?という点が問題となります。つまり、働き方が外注なのか従業員なのかです。その際、一定の判断基準がありますので、その基準に基づき検討することになります。
(1) その契約に係る役務の提供の内容が他人の代替を容れるかどうか。
システム会社は、エージェント経由でフリーのエンジニアを紹介してもらうことも多いと思います。このように、システムエンジニアと直接契約せずにエージェントと契約する場合は、エージェントに代替を依頼することができるため、外注費としての性格が強いと思います。しかし、フリーのエンジニアと直接契約している場合、そのエンジニアが代替を依頼することが難しい場合も多いことから、給与認定されるリスクもありそうです。
(2) 役務の提供に当たり事業者の指揮監督を受けるかどうか。
ここが一番のポイントになります。システム会社は、フリーのシステムエンジニアに対して、何かしらの成果物を納品してもらうというより、システム会社の指揮命令下で、作業をしている場合が多い気がします。私がシステムエンジニアとして働いていた時、協力会社と一緒に仕事していましたが、この形態でした。協力会社ではなく個人事業主だったら、給与認定されてしまいそうです。
(3) まだ引渡しを了しない完成品が不可抗力のため滅失した場合等においても、当該個人が権利として既に提供した役務に係る報酬の請求をなすことができるかどうか。
通常、日当ベースで支払っている場合が多いと思います。従って、フリーのエンジニアは、何かしら完成品を納品しなくとも、働いた分だけ報酬を貰えるため、やはり給与認定されてしまいそうです。
(4) 役務の提供に係る材料又は用具等を供与されているかどうか。
パソコンを供与しているか否かですが、これはシステム会社によりますが、供与されないことが多いのではないでしょうか。であれば、外注費としての性格が強いです。
調査官は、こういった視点で、外注なのか給与なのか判定します。正直に申し上げると、給与としての性格が強い場合が多いというのが、私の見解です。
3.税務調査の対策
給与としての性格が強い中、システム会社はどのような対策が考えられるでしょうか。最も大切な対策は、フリーのシステムエンジニアが確定申告する事です。システムエンジニアが、私は外注ですと宣言しているにも関わらず、税務署が給与認定するのはハードルが高くなるためです。もし給与認定した場合、そのエンジニアも給与として修正申告しなければなりません。税務署もそこまでやらないよねということです。業務委託契約書をしっかりと残すことも大切ですが、とにかく確定申告するように指導してください。給与認定されてしまうと、源泉所得税と消費税が追徴課税されますため、避けなければなりません。
当税理士事務所は、システムエンジニアの顧問先を抱えており、また代表はシステムエンジニア出身であるためこの業界に対する理解があります。税務調査については、当税理士事務所は最初の相談は無料で受けていますので、その無料相談でも可能な限りの事はお伝えします。そして、税務調査の立会いを依頼した場合の料金は広告費にお金をかけていない分、他の税理士よりも安く設定していますので、是非ご連絡ください。