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税務調査の相談・立会で困ってしまう事
当税理士事務所には、様々な業種の会社・個人事業主の方が、税務調査の相談にいらっしゃいます。そして、実際に立ち会うのは3~4割程度でしょうか。厳密に計算したことはありませんが、感覚的にはその程度のような気がします。今回は、税務調査の相談でお断りしたケースや税務調査時に困ったケースなどをご紹介します。私が実際に経験したものだけでなく、同業者から聞いた話などもお伝えします。
【目次】
- 税務調査の立会いをお断りするケース
- 脱税のサポートを依頼する
- こちらが想定する以上の税金減額を求める
- 税理士への報酬を渋る
- 税理士が立ち会う効果が小さい
- 税務調査の途中で困ってしまうケース
- 納税者が調査官に怒り出す
- 払う払う詐欺
- 税額を下げるだけ下げさせておいて途中解約
- こちらが想定する以上の税金減額を求める
- まとめ
1.税務調査の立会いをお断りするケース
これまでの受けた相談や立会いを思い出しながら、リストアップしてみました。当税理士事務所は、大原則として、今後適正に納税する意思のある方しかサポートしません。だからこそ、立会費用も顧問契約を締結して頂く人を金額面でも優遇しています。
1.脱税のサポートを依頼する
一番多いのは、「ある銀行口座に入金された売上を全く計上していないんだけど、ばれないようにできませんか?」という方です。できませんという回答で終了です。「では知らなかったというスタンスだとダメですか?」とも聞かれますが、できませんという回答で終了です。これは、全ての税理士が同じ回答をします。そのため、それでもばれないようにしようとする方は、税務調査はご自身で対応することになります。結果がどうなったかは知る由もありませんが。
2.こちらが想定する以上の税金減額を求める
とにかく支払う税金を減らしてほしいという方もいます。その額が非現実的だったりします。そういった場合も後々トラブルになりますので、依頼をお断りしています。税理士は、税務署の調査官を説得するだけでなく、納税者を説得することも大切な仕事なのですが、得てして、納税者の説得の方が大変だったりします。
3.税理士への報酬を渋る
私たちも無償でやっている訳ではないため、報酬は頂きます。原則は、調査前に一括で頂くのですが、支払が難しい方に限って分割支払いを個別に許容する場合もあります(最終的に全額払ってくれそうな方に限定していますが)。それでも報酬の半分は前金として頂くようにしています。税務調査に立ち会う旨を税務署に伝える以上、そこに責任が生じますので、無責任に立会いを途中でやめたくないという想いがあります。しかし、報酬を頂けなければ立会いを途中でやめざるをえません。そういったトラブルを未然に防ぐためにも、前金の支払いが難しい場合は、申し訳ないのですが依頼をお断りしています。
4.税理士が立ち会う効果が小さい
しっかり記帳をやっているんだけど、不安だから相談にきたという方もいます。実際に資料を拝見すると、ご自身なりに記帳もやっていて、領収書もしっかりと整理されている。プライベート支出も見た限りあまりなさそう。こういったケースでは、税理士が立ち会っても費用に見合う効果がないのでお断りしています。それでも不安だから立ち会ってほしいという事もありますので、そういった場合は、費用対効果について正直にお伝えした上で、立ち会っています。愛知県海部郡の個人事業主の立会ったケースでは、売上の期ズレと車の耐用年数の誤りだけ指摘されました。税理士の立会いの有無で結論は変わりませんが、とても感謝されたので、有難かったです。
2.税務調査の途中で困ってしまうケース
1.納税者が調査官に怒り出す
別に調査官が無礼な態度をとった訳でもないのですが、理不尽に怒り出す人がいました。怒っている理由も私にはよくわかりませんでした。調査官も人ですので、そういった態度をとってしまうと、不利に働くことも多いです。なのでやめてほしいなと思います。(怒りを言葉にのせて)理屈の通った反論をすることはそれほど問題ないと思いますが、理不尽に怒り出すのは逆効果だと思います。基本的に、納税者に立ち会ってもらうのは最初だけですので、納税者がいない交渉過程で、調査官に「意味なく怒る納税者って結構いますか?」と聞いてみました。「時々いますよ」との事でした。年に1度くらいは、「俺の後ろには~」といって脅してくる人もいる様です。私たちは、立ち会うか否かを取捨選択できますが、税務署の調査官はできないので、大変な仕事だなと改めて思いました。
2.払う払う詐欺
仕事のトラブルで忙しかったり、その他諸々の事情もあり、資料の提出も遅いし、残額の支払いも遅れに遅れていました。税務署の調査官にもずっと待たせている状況でした。あまりに遅いので、途中で契約解除することも可能でしたが、調査官にも迷惑が掛かりますし、それほど工数もかかっていなかったので、納税者に通知した上で、その時点で預かった資料のみで調査官と交渉し税額を確定させました。もっと資料があったのかもしれませんが、本人が提出しないので、その損失は本人が被ることになります。また、残金を頂いていない事から、それ以降のフォローは全くしていませんので、分割納税等がどうなったかは知る由もありません。今後、こういった嫌な気持ちで仕事したくないので、報酬は最初に全額払っていただくことを大原則としています。
3.税額を下げるだけ下げさせておいて途中解約
これは、お世話になっている国税OBから聞いた話です。前金50万円、後金50万円で受けた案件で、交渉でかなり税額を減らした後に、あとは自分でやりますと契約を解除されたケースです。その結果、50万円しか受け取れなかったようです。契約を解除された時点でまだ交渉している事項があり、さらに50万円以上は税額を減らせそうだったらしいのですが、もういいやとなったそうです。納税者は結果的に損していますよね。この案件を機に、契約書をより厳密にし、最初に報酬の全額貰うようにしたと言っていました。
4.こちらが想定する以上の税金減額を求める
相談時にこういう方は避けるようにしているのですが、見誤ることも当然あります。他の案件と比較してうまく交渉できたと思った案件に限って(グレー部分をかなり認めてもらっている)、こういった事が起きてしまいます。この場合、勝ち取った減少額をお伝えすると一応納得してもらえます。今のところありませんが、それでも納得しないなら、別の税理士を雇ってくださいとお伝えし、私は手を引きます。
3.まとめ
税務調査の相談・立会で困ってしまう事についてお伝えしました。実際、色々と取り上げたものの、このような事例は僅かです。大多数の方は、反省していて、これから適正に納税しようと思っている方なので、そういった方については、全力でサポートしたいと思っています。
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