名古屋市で税理士・会計士をお探しなら梁瀬会計事務所「コラム・解決事例」ページ

営業時間:平日 9:00〜18:00(土日祝日も対応可能) 052-990-1575

CONTACT

News & Column

2021.03.23 解決事例(税務調査)

マッサージ店の税務調査のポイントとは

私が立ち会った税務調査は、マッサージ店を経営されている個人事業主の方です。これからご説明するのは、この税務調査の経験をベースにお伝えしますが、法人で経営されている場合にも当てはまりますし、ビジネスモデルが近い業種(整骨院、鍼灸整体院、美容室など)にも参考になると思います。私が肩こりが酷いこともあり、税務調査が終了した後に2度ほど施術して頂きましたが、とてもよかったです。私の住まいから遠いため、今は行くことはないのですが、近ければ定期的に通っていると思います。

【税務調査の項目】
  1. 売上は漏れなく計上しているか
  2. 外注費は実質的に給与ではないか
  3. まとめ

1.売上は漏れなく計上しているか

マッサージ店は現金商売ですので、税務署の職員は、売上については必ずしっかりと確認します。では、どのように売上をチェックするのでしょうか?マッサージ店は、施術のスケジュール管理がとても大切ですので、施術者ごとに予約表(勤務表)を作成しているはずです。また、価格表もあるでしょう。そこで、税務署の職員は、申告した売上金額が予約表/価格表と整合しているかを確認します。実際に、私が立ち会った税務調査でも、調査官は一つ一つ確認していました(現地では1か月分確認して、それ以外は税務署に持ち帰っていましたので、全てを確認したかどうかはわかりませんが)。今回は税務調査前に見直していましたので、特に問題は検出されませんでした。

皆さんは大丈夫でしょうか?売上の過少計上がばれないようにするために、予約表を隠したり破棄したい欲求が出るかもしれませんが、そもそも、予約表がないこと自体、違和感しかありませんし、後ほどお伝えする理由からも絶対にやってはいけません。また、予約表を改ざんすることも頭によぎるかもしれません。しかし、何かを改ざんすると、その改ざん内容と整合させるために、その他の資料も改ざんすることになります。そんなこと100%確実にできますか?できないと思います。例えば、売上が減れば、外注費も減るはずです。しかし、外注費は既に支払っていますし、支払明細書が外注先に渡っていることから、そこは改ざんできません。従って、そのような不正に手を染める位なら、事前に修正申告することを検討してください。

また、現金商売の税務調査でよくあるのは、調査官は税務調査の連絡をする前に(もしくは無予告調査の前に)、別の職員が事前にマッサージ店にお客として通っている可能性が高いです。そこで、価格表や予約表の有無、現金の取り扱いがあるのか等を事前調査しています。勿論、ホームページも確実にチェックしています。税務調査前に、違和感のある人がお客としてきませんでしたか?と確認したところ、価格表はありますか?といった質問をしてくる人がいたようなので、その方は税務署の職員である可能性が相当高いです。先ほど、予約表などを破棄するのがダメとお伝えしたのは、この事前調査で、予約表の存在を把握しているためです。破棄等がバレれば、重加算税+調査対象期間7年の可能性が高いので、最悪の結果になります。これまでのコラムでも何度もお伝えしていますが、売上は確実に正しい申告をしてください。

今回は、無予告調査ではありませんでしたが、現金商売の場合、無予告調査となる可能性もあります。無予告調査については、最初の対応次第で、発生する税額も大きく異なる場合がありますので、以下のコラムをご覧いただき、知識として抑えて頂きたいです。
予告なしに税務調査が来た場合の対処方法について

2.外注費は実質的に給与ではないか

マッサージ店に限らずですが、いつもの論点です。別のコラムでもお伝えしたと思いますが、税務署の職員が給与認定したい理由は、税金をたくさんとれるからです。つまり、消費税と源泉所得税です。下記の通り、外注費なのか給与なのかについて、一定の判断基準がありますので、それをもとに考えてみます。
(1) その契約に係る役務の提供の内容が他人の代替を容れるかどうか。
⇒マッサージ店の施術は、当人が遂行できない場合に別の施術者にお願いして報酬をもらうという流れは現実的ではなく、仕事の代替が認められているとは言いづらいため、給与としての性格が強そう。

(2) 役務の提供に当たり事業者の指揮監督を受けるかどうか。
⇒この点は、マッサージ店によって異なると思います。私が対応したマッサージ店では、勤務時間は必ずしも管理されていない、施術方法はある程度確立されているが、手順等は施術者に一任している。以上から、外注費として整理できそう。

(3) まだ引渡しを了しない完成品が不可抗力のため滅失した場合等においても、当該個人が権利として既に提供した役務に係る報酬の請求をなすことができるかどうか。
⇒報酬は日当が基本なので、給与としての性格が強そう。一応、成功報酬もありましたが、報酬に含まれる割合は小さかったです。

(4) 役務の提供に係る材料又は用具等を供与されているかどうか。
お客の着替えやタオルは供与、施術に使う道具は、施術者負担だったので、外注費、給与どちらとも判断可能

これだけでは、どちらかといえば給与よりでしたが、商工会議所かどこかから入手した請負契約書をベースに契約書を締結していたこと、外注先がしっかりと確定申告していたこともあり、外注費として認定してもらえました。

外注費か給与かという論点について、その対応方法を別のコラムで纏めましたのでご参照ください。
税務調査で問題となりがちな外注費と給与の区分について

消費税法基本通達

(個人事業者と給与所得者の区分)
1-1-1 事業者とは自己の計算において独立して事業を行う者をいうから、個人が雇用契約又はこれに準ずる契約に基づき他の者に従属し、かつ、当該他の者の計算により行われる事業に役務を提供する場合は、事業に該当しないのであるから留意する。したがって、出来高払の給与を対価とする役務の提供は事業に該当せず、また、請負による報酬を対価とする役務の提供は事業に該当するが、支払を受けた役務の提供の対価が出来高払の給与であるか請負による報酬であるかの区分については、雇用契約又はこれに準ずる契約に基づく対価であるかどうかによるのであるから留意する。この場合において、その区分が明らかでないときは、例えば、次の事項を総合勘案して判定するものとする。
(1) その契約に係る役務の提供の内容が他人の代替を容れるかどうか。
(2) 役務の提供に当たり事業者の指揮監督を受けるかどうか。
(3) まだ引渡しを了しない完成品が不可抗力のため滅失した場合等においても、当該個人が権利として既に提供した役務に係る報酬の請求をなすことができるかどうか。
(4) 役務の提供に係る材料又は用具等を供与されているかどうか。

3.まとめ

今回は、マッサージ店の税務調査についてご紹介しました。現金商売は、売上について相当時間をかけて調査されます。現金商売は件数も多いため、本人が適切に処理していたと思っていても、間違っている可能性は比較的高いです。そこに不正の意図がなければ、大きな問題とはなりませんが、不正の意図があったり、それを隠そうとした場合には良い結果にはなりません。なぜなら、税務署にはこれまで積み上げた不正・隠蔽手法がストックされており、そして、税務署の担当者は、不正はする、隠蔽もするという前提で、調査をおこなうためです。やはり、不正はバレる可能性が高いですので、そういった事は行わずに、税理士の助けを受けながら、適正に対応してください。

当税理士事務所は、マッサージ店などの現金商売の税務調査の経験も豊富です。そして、最初の相談は無料で受けています。税務調査の立会いを依頼した場合の料金は広告費にお金をかけていない分、他の税理士よりも安く設定しています。詳細はこちらをご覧ください。

税務調査の料金やご利用の流れなど

 

 

 

この記事は更新日時点の情報となります。掲載の情報は法改正などにより変更になっている可能性があります。
また、この記事内容は結果を保証するようなものではありませんので、掲載されている情報を利用することで生じた、いかなる問題、損害等に対しても一切の責任を負いません。自己責任において、ご活用ください。